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山形県の民話

トント昔話
Vietnam chinese

 昔昔その昔のことです。村の庄屋さんにお城の殿様から「ぜひそなたの村を見たいもの」と家来により知らせがあった。庄屋さんは村の名誉なことと、村の衆を集めどのようなおもてなしをしたらよいものかと相談した。何と言っても殿様に喜んでもらえることは殿様の大好物を御馳走することと決まり、家来の方に何が好物であるかと聞いたところ、殿様は大根おろしが大の好物であると聞かされる。庄屋さんは大根おろしとはどんなものであるか知りませんでした。そこで又村の衆を集め大根おろしなる物はどんな物かと話をしたところ一人の村人はそれは大根をニャンニャンとかんではき出したる物と言った。そんなことなら簡単なことと村の衆に一本すぐ大根をもって来させ、みんなで大根をかじりかたくちにはき出し山盛りの大根おろしを用意しました。早速殿様が見えられたので、さあさあと大根おろしの御馳走になった。殿様はことの外喜ばれ、「これはうまいうまい」と食べられた。お城に帰られて家来に「あのようにたくさんの大根おろし、どのようにして造ったものか」と話されたので、庄屋さんは「これこれしかじか」としたところ、こともあろうに村の衆の口の中でかんではき出したる物を殿様に食べさせたとあってはと大の御立腹。せっかく喜んでもらったつもりが、頓なことになったものと庄屋さんと村の衆はこまってしまった。どのようなことをしたらお許しをいただけるものかと庄屋さんがお城に出向いておねがいしたところ、庄屋始め村の衆の「詫び証文に血判を押してくるように」と言われた。庄屋さんは帰り道すがらケツパンケツパンと口ごもごも村に帰り、早速巻き紙いっぱいに自分と村の衆の名前を書いてみんなを集めた。一人一人名前を呼んで用意したすずりすみを、尻をまくらせけつを出させぬらせ名前の上に尻をつかせけつの印を押した村の衆のけつはみんな真っ黒け笑うに笑えない血判状を出したという無学時代のお粗末の一席。

白鷹町老人クラブ連合会様 「白鷹のとんとむかしとうびんと」より
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